灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

蒼い魔術師は悪夢を屠る 10


第8章
 
 
アカデミーへと赴任して半年
授業中校内放送が入った
 
『職員の呼び出しを行います。
用務員のコール・C・コルクさん
至急、今日職員室までお越しください。』
 
  
…放送はそれのみだった。

私は表には出さないように気をつけてはいたが、 心の中は張り詰めていた。
  
 
今の校内放送は隠語だ。
 

コール・C・コルクという用務員は存在しないし、
そもそも、校内放送は『繰り返し、2回』読まれることが通常だが
今回は一回の放送のみだった。
 

そして、今回の隠語が示している意味は
『アカデミー職員は、至急、教員室へ集合、警報レベルイエロー』
 
私は、教材を忘れたことにして
教員室へと向かった。
  

教員室へ到着すると、既にほとんどの講師と
軍人が2人、ラック先生と話していた。
 
  
ルーグ
『…分かった。戦闘経験のある教員を補充要員として加えましょう。…本部への連絡は?』
  
軍人
『現在、たまたま、飛行艇でこの付近にいた、第一師団と第一師団師団長どのが
こちらへと向かっているとのことですが、
…到着までには2時間はかかると…』
  
ルーグ
『…なるほど、『赤』の奴もこちらに向かっていると…なら、時間稼ぎが一番の得策じゃな。』
 

 
 
話しはこうだ。
 
 
山を2つ越えた、
このアカデミーから最速で1時間ほどの位置に 
『幹部候補生養成アカデミー』がある。
 

そっちのアカデミー内に
パラドクスが出没した。
 
そして、こともあろうに
現在確認が取れている時点で、
パラドクス単体以外に
 
幹部候補生養成アカデミーの講師が4人、
パラドクス憑きと化していた。
 
そして、アカデミー生や他の講師を襲撃しているらしい。
 
 
…その中でも、パラドクス憑きの講師が
1体でも、一般兵隊クラスでは手に負えないのだが、
それが4体も存在する。
 
  
そこで、こちらのアカデミーへの応援要請という選択をした。
 
 
ルーグ
『ナタリー君、ドックマン君、アリーシャ君、ブックマン君…事情は先ほど話した通りです。実戦経験があるのは貴方達だけです。 力を貸してください。』

 
私達は、ラック先生を含めた5人と、先ほどの軍人2人に先導され、山を2つ越えた。

急いだ甲斐もあり、50分程で現地には到着した。
 
軍人が、上官らしき士官に報告している。
 
その士官が、こちらを向き、一礼をした後に話しを始めた。
 

士官 
『…ご足労いただき、大変申し訳ありません。
…お恥ずかしい話、私達の隊のみでは、もう手におえません。どうかお力添えを…』
 
ルーグ
『…状況は聞いています。その上で、こちらからも言わせていただきたい。
…まず第一に、貴方達の隊は、学生や非戦闘員の避難誘導を第一に行ってください。
それと、ここからの戦闘の際は、私に指揮権を譲渡していただきたい。』
 
士官
『…了解致しました。どうかお願いします…
緑の魔術師どの、そして蒼の魔術師どの…』
 
 
ルーグ
『さてと…、君たち4人には、とりあえず、パラドクスの足止めと時間稼ぎを頼む。無理に屠ろうとしないほうが良い。…そして、わしも力を貸そう。』
 
  
緑の魔術師こと、ルーグ・ラックが得意とする魔術は
召喚術式

契約を交わした精霊を使役する。
 
  
ラック先生は、巨大なゴーレムを4体 召喚した。

1人に一体、ゴーレムを引き連れ、
アカデミー校内へ突入する。
 


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