灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

過去の時代を知ると言う意味

 

 

今日、俺はこの中学校を卒業する。

 

…と、言っても 3年間のほとんどを保健室登校の俺にとっては、やっと解放される程度の感覚だ。

 

 

…同い年くらいの奴らとは、とことん話しが合わない。

各々、『目には見えない階級』をつけて、

その持っている階級で、どう振る舞って良いかが決まっているようだ。

 

 

…吐き気がするほど馬鹿馬鹿しい。

 

 

俺は、教室で授業を受けていなかったとは言え、

勉強は役に立つと考え、自分で勉強した。

 

成績は常に学年上位。

 

『上の階級』の奴らは、そこも含めて、俺のことが『気にくわない』らしかった。

 

 

卒業式後、

一応 担任となっている教師から

『1つだけ、お前に伝えたいことがある』と言われ、1対1で面談を行なった。

 

 

 

その50歳代の教師。受け持ち科目は歴史

 

 

 

その教師は 深く呼吸をした後に、真剣な面持ちで話し始めた。

 

『お前は、確かに頭が良い。

…それは単純に、勉強ができると言う意味だけじゃなく、

周りに惑わされない、信念を持っていると言う意味でもだ。

…俺も、最近の生徒の、その『カースト』じみたものは、正直あまり 良い傾向ではないと考えている。

 

…その上で、ここから話しをする内容は、俺の『自分自身の歴史教師』としての、意見を伝えたい。

 

…お前も、歴史として学んでいると思うが、人間は戦争と言う暴力を繰り返し、

また今も、現在進行形で、その愚行を上塗りし続けている。

ただ人間は『愚行の先には虚無しか残らない』と言う事を、最終的には学び、

その愚行を繰り返さないよう、文字通り、血の滲むような努力を行なってきた。

…お前が他の生徒たちから受けた仕打ちは、その愚行のディティール。

 

…歴史を学ぶと言うことは、そうゆう意味もある。

 

…だからどうか、お前は過去の歴史から学んだ教訓を活かして、生きたいってほしい。

 

…今は独りでも、

ある日ふと、1人、また1人と理解者がきっと現れる。

だからお前なら大丈夫。

それ、行ってこい!』

 

 

 

 f:id:zitumiki:20160920205529j:image

 

 

『…僕は、この時代・環境を憎んでいます。…理解者なんて必要ないし、そもそも現れないと思います。

…でも、『その理解者』がもし、現れてくれたならきっとこの上なく幸せなんだと思います。

…先生、ありがとうございます。』

 

先生

『おう!またな!』