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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

歪な秘密の共有者

 

 

人には、誰しも見せない一面がある。

 

その人のことを 本当に知ろうとしなければ、その人のことなんて、絶対に理解できまい。

 

 

…見た目で、話し方で、態度で、ある程度のことは分かる。

 

しかし、それはきっと その人の表層のみ。

 

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僕はそれまでの『彼女』が、今までの彼女とは思えないような行動を目撃したからだ。

 

 

 

僕はバイトを11時に終えて帰宅中、繁華街の一本裏の通りをチャリで、自宅へと向かっていた。

裏通りとは言え、人通りは多く、100メートル先ほどだろうか?

人集りが見える。 何事か?

 

 

様子を見ると、チンピラが3対3ほどで揉めていたため、通行を妨げてしまっていた。

…今日はついてない。

 

 

諦めて迂回して通ろうと考えていると、

ふと、見慣れた制服…うちの高校の女子制服を着たクラスメイト…『加賀 絵美』がそこを、何事もないように通り過ぎようとする。

 

周囲の人間は唖然とした。

 

加賀は、眼鏡を上げ直し カバンをいつも通りの肩掛けで、両方に三つ編みで編んだ髪をなびかせながら、

本当に何事もないかのように通過しようとした。

…が、案の定 チンピラ達に絡まれた。

 

 

チンピラ

『ねぇちゃんよー、ちっとは空気が読めんのかね?邪魔じゃ!どきや おら!』

 

一斉に、チンピラ達の矛先が加賀へと向いた。

 

 

…ヤバイ!…

 

加賀とは今まで、連絡事項程度でしか話したことはなかったけれど、

大人しいイメージが第一だ。

 

 

こんな荒事 加賀はきっと怯えているのだろう。

そしてきっと、ぼーっとしていてあの人集りに入り込んでしまったんだろう。

 

 

『まってくれ!』

 

僕は、『クラス委員長』として、クラスメイトを放っておくわけにはいかないと、咄嗟に割って入ってしまった。

 

…しかし、どうしたものか?

僕は体力には自信はあっても、喧嘩や格闘技などの経験は無い。

 

 

なんてことを考えていると、チンピラ達が僕へと睨みを利かす。

 

 

チンピラ

『なんだ?にいちゃんのツレか?だったらちょっと付き合ってもらおうか!』

 

 

…今日は本当に、本当についていない。

 

 

と思っていると『ハァー…』と横から、深いため息が聴こえた。

加賀からだった。

 

加賀

『天海君、あなた いたのね…しかも、割って入ってきちゃったと…

とりあえず、これを片付けたら一旦話しに付き合って。』

 

 

へ?と僕は思った矢先、目の前の加賀が消えたと思うと、手近なチンピラが1人、仰向けに倒れている。

 

 

チンピラどもも何が起きたか理解できていないようだ。

 

すると次には加賀は自分よりも背が断然高いチンピラの首を後ろから締め倒した。

 

2人、のした時点でチンピラ達も加賀へ本気で殴りにかかる。

加賀は足技や掌打で残りのチンピラをひら倒した。

 

それだけではなく、加賀は『キャハハ!』と、

本当に無邪気な女子高生が、まるで テーマパークのアトラクションを楽しむように笑っているのだ…!

 

 

全員をのした後で加賀は

『あんたらが邪魔なだけでしょ。しかも歯ごたえが無さ過ぎ。』と言った後、俺の手を無言で掴みその場を離れる。

 

 

離れついた先は、近くの公園

加賀は、ここでようやく話しを始めた。

 

 

加賀

『…天海君、今の見たわよね?…』

 

 

天海

『…ああ…、加賀、なんとゆうか…その…』

 

 

言葉が出てこない。

いや、正確にはこう思っている

『加賀は異常ではないのか?』と。

 

 

加賀

『…私、変かもしれないけど、喧嘩が大好きなの…!とても楽しいの…!

…だからその…ああいう場面を見るとつい、飛びつきたくなるの。

…でもこんなこと、学校にでも知られたら即退学させられちゃうもの。

普段は我慢してるんだけど…』

 

 

天海

『まあ、そりゃ そうだろうな。僕は別に言うつもりはないけど、…その…できれば女子なんだからさ、そうゆうの、やめておいた方が良いんじゃないか?』

 

 

加賀

『…それは嫌ね。

そこで、私は1つ 提案を出させてもらいたいの。

天海君は、私の『この趣味』を秘密にする。

…だから私は、天海君の秘密を他言しない。…これでどう?』

 

 

僕はどきりとした。

 

 

天海

『なんだ、加賀?まるで僕に、人には言えないような秘密があるみたいじゃないか?

しかもその言い方、まるで『もう知ってます』って感じだな?』

 

 

加賀

『だって知ってるもの…

学年成績上位者の優等生、人望もあってスポーツ万能、そして我がクラスのクラス委員長…

…そんな人が、校則違反のアルバイトを しかも繁華街のショットバーで、夜の22時過ぎまでやっている。

そんなこと、学校に知られたら天海君はどうなるのかしら?』

 

加賀はニヤニヤしながら真実を言い当てた。

 

 

俺は動揺した。

 

天海

『…なっ!なんで知って…』

 

加賀

『簡単なことよ。そのバーに『元趣味相手』が出入りしているから。

その人。私のことを姐さんって言うのよ。

そいつから聞いたの。』

 

天海

『…』

 

 

加賀

『どうかしら?私達2人は『秘密の共有者』ってことで!

これからもよろしくね!』

 

 

そう言って加賀は足軽に去って行った。

 

 

…今日は本当についていない。