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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

蒼い魔術師は悪夢を屠る 23


矛盾の王と対峙し挑む寸前、緊急通信が入った。

『…っ!こちら チーム ハウンド! 残党の殲滅中であったが、その対象が一斉にそちらの…、矛盾の王へと向かって行っている!
こちらもすぐ向かうが、なんとか持ちこたえてくれ!』

アレックス
『ああっ?…くそ!ちとまずいな。
…緑のじいさん!なんとか手を貸してくれ!』

ルーグ
『…ふむ、チーム クローバー 
code ジョーカーを発動。対象は…アレックス』


code ジョーカーも禁呪の1つ 複製魔術だ。
その効果は、対象の劣化版の人物を大量に複製する。


ルーグ
『少しは、時間稼ぎになるかの?』

アレックス
『…ああ、少しはな!
…狂戦士!と、そこの犬っころは、自分たちの役割だけに集中しろ!』


ナタリー
『…分かりました。…いくわよ、ドックマン!』

ハンダー
『…ああ。』


私はトランペッター発動術式を構築し始めると同時に、
自身にマインドオープンがかかるのを感じた。


頭の中は『あの頃』と『あの時』の記憶で充満する。
しかしそれでも、私はトランペッターの術式を編む。

気がつくと口から血が滴る。
どうやら歯を食い縛りすぎて、切れてしまったらしい…


ナタリー
『…終焉の…トランペッターっ…発動っ…!』


『終焉のトランペッター』は出現した。

…術の効果範囲は、定めることができた。
しかし、トランペッターは反転旋律を演奏しない。


ナタリー
(…こんなに苦しいのに…っ…最後の『トリガー』が弾けない…!)


すると頭の中に声が入ってきた。誰かはすぐわかる。
ドックマンだ。


ハンダー
『お前、最後の『引き金』が弾けないんだろう?…でも苦しい。そうだろう。
…あとは俺に任せろ。』


ドックマンはそう言うと、私が定めた術の効果範囲内へ自ら入っていく。


ナタリー
『えっ?…何をしているのっ?!ドックマン!あなたそこは…!…そこはっ!…まさか…?!
…ねぇ、やめて!ねぇっ!』


ハンダー
『わかっている。…そして、これがお前の考えていた『身投げ』の次に有効な手段。『鍵役の消滅』、だろ?』

ナタリー
『…そんなこと、私が許すと思っているの…!』

ハンダー
『…もちろん許さないだろうな。だから、契りの縛りをかけさせてもらった。
…そして後に、お前が苦しまないようにも…』


そこでようやく、飛空艇のテラスでの契りの内容を思い出した。


ナタリー
『…貴方、…私はこんな最期、絶対に許さない。一生、貴方を恨むわよっ!
…たとえこの契りの縛りで、『貴方の存在と記憶を全て忘れる』ように、縛られていたとしてもっ!…』

ハンダー
『…恨んでくれ。契りで忘れたとしても…たとえ仮に、思い出したとしても…ナタ、お前は死ぬまで、俺を恨み続けろ。
…そして生きろ。』


私はトリガーを、半ば強制的に弾かされた。
ドックマンは、こちらを向いた。その表情は、目は涙で滲みながらも、口は笑い、…そして。

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