灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

「服を買うための服が無い問題」の深刻さ

 

よく冗談ごとのように

「服を買いに行く服が無い」って言葉がありますよね?

おしゃれな洋服店に入りたいけれど、その【おしゃれな洋服店】に入るためのそれ相応の服が無いから入れない

(大体の場合、正確には入りずらいだけなのだけれども…)

 

以前、Twitterリツイートで、この言葉は意外と冗談ごとではなく、近い言葉で

『知識を得るための知識がないために負の連鎖に陥る』なんて文言がありました。

 

今回は私がだいぶ以前ですが、聴いた「服を買うための服が無い」の、

また異なるパターンんをちょっと語りたいと思います。

 

それは「身分を証明するための身分が無い」です。

 

大多数の日本人は、生活するうえで家族や学校、会社などの「社会」に所属しているため、その所属しているという証書のようなものを持っています。

それは赤ちゃんでも同様で

会社員なら「健康保険証」や「社員証」「車の運転免許証」、子どもなら「学生証」や親などの(扶養者)の「健康保険証」または「母子手帳」など、少なくとも現代の日本は何かしらを所有する仕組みとなっています。

昨今では「マイナンバー制度」もあります。

(追記で外国人の場合でもパスポートというものがありますよね)

 

 

しかしながら、その「社会」に所属していない人はどうでしょう?

普段の生活上、私たちはあまりかかわりが無い故にイメージしずらいと思いますが…

 

実は「身分を証明するものが無い」人って、現代の日本でもいたりします。

 

実例を挙げるのならば

「数十年といった長期間、精神科などの病院に入院していた人が、退院をして地域で生活をしようとしました。

その人は身寄りもないためアパートを借りて生活を開始しようとしました。

(病院の相談員などが手伝いながら)賃貸の大家とは仮交渉が成立し「あとは身分証の提出を」と求められました。

しかしその人には諸事情で健康保険証はなく、その他の「証明書」なども病院生活では必要がなっかったため持っていません。

(戸籍も住民票も存在せず、国籍もかなり曖昧であったとのこと)

ここで行政(役所)へ赴き、市民課で「マイナンバーカードの発行をしたい」と伝えると、行政側から「(住民登録もされていないため)身分証を提出してもらわなければマイナンバーカードは発行はできない」と返答があったとのこと。」

(その時点で本人よりも病院の相談員が激怒したとのこと)

 

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結局、いろいろなアプローチや手段を取り、なんとか「身分証となりうるもの」を入手できたとのことでしたが

 

この時点で「マイナンバー制度ってなんだっけ?お年寄りや他に身分証を持っていない人が活用しやすいってふれこみじゃなかったっけ?」と思いました。

 

「服を買うための服が無い問題」の本質は、実はとても深刻な問題なんだと感じた一件でした。