灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

『飴と紐 ~番い(つがい)の変わり者~ 』

 

”俺たち”の恋愛関係はたぶん、他の人達へは伝わりづらい関係だろう。

 

 

 

…彼女との出会いは今からちょうど6年前

大学時代のサークルが一緒なのがきっかけだ。

 

俺は高卒での入学だが、彼女は社会人として2年勤めてからの大学入学であった。

つまりは2歳 歳上なのだ。

 

 

彼女とはサークルの中でも頻繁に連む間柄だったが

実際に交際を始めたのは俺も彼女も卒業後 社会にでてからとなってから…

 

 

在学中、お互いに”暗い何か”を抱えていることは漠然と理解していたが、その内容は知らなかったし 語らなかった。

それでも連んでいられたのだ。

 

 

社会人となり

…色々とあった。

俺はかなりやばかった。

正直に言えば自殺未遂もおこした。

それでも踏み止まり現在に至ることができるのは、おそらく彼女のおかげなのだろう。

 

俺は、人へは滅多に打ち明けるないことができなかった何かを彼女へ打ち明けた。

 

打ち明けながら幼い子どものようにボロボロと泣く俺を、彼女も子どもをあやすように抱きしめてくれた。

  

彼女は俺を抱きしめながら

『…辛かったね よく頑張ったね…』と言ってくれた。

 

続いて彼女は

『今度は私の話しを聞いてくれると嬉しいな…』と言って打ち明けられた。

 

 

彼女の闇は簡潔に言えば”劣悪な家庭環境と虐待体験”そして今尚残るその痕跡

そしてそのため、子どもを授かることができない体質だというのだ。

 

 

彼女は最初は静かに打ち明けていたが

次第俺みたいに泣き出した。

 

 

最終的には子どものように泣きながら互いに抱きしめあっていた。

 

 

…そんな日々からもう3年目

 

 

 

最近の彼女から頻繁に言われること

『あなた!いい加減 煙草はやめなさい! 毒を吸っているも同然よ!毒っ!』と、時には”肉体的言語”で禁煙を迫られている。

 

俺は最終的に

『来月からは辞めるよ!辞めるって宣言するからさっ…!』

肉体的言語(足蹴り)を避ける。

 

 

とりあえず、禁煙宣言をしてからも吸いたい衝動が多々迫ってきたが我慢してきた。

 

 

しかし、夜の23時 自宅で資料作成をしていると不意に魔がさした。

 

『 …彼女は寝てるよね…?…今だけだから…』とベランダで一服していると

 

???

『…ほーう…ここに嘘つきがいるぞー…』とただでさえ寝起きの悪い彼女がおそろしい表情で顔を出した。

 

俺は声なき悲鳴をあげたのち彼女の前で正座していた。

 

背が低いとは言え 彼女は仁王立ちで、正座する俺を見下ろしたのち

無言で何かを取り出した。

 

俺はなされるがままで最終的にはこうなった。

 

 

俺は紐で両腕を拘束され、ベット柵に括り付けられた。

 

彼女は俺を縛り終えるとそのまま眠りについてしまった。

 

(これはあれか?…なんとかプレイ?って奴なのか?…)

などとモヤモヤと考えながら俺もいつの間にか眠っていた。

 

 

 

翌朝目覚めた時には彼女は既に出勤しており縛られていた紐は消えていた。

 

 

 

 

そして食卓には彼女のメモと見慣れぬものが

 

『 何度も言いますが煙草は百害あって一利なしです。

その毒を自ら摂取する。それは自傷行為と言っても等しいのでやめてください。

私は貴方が大好きなのだから、大好きな貴方が傷つくのは見たくありません。

ストレスが多いのはわかりますが…

どうか仕事でも無理をしないでください。

ps 煙草の代替品として私から』

 

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彼女は本当に不器用だな。まあ俺も人のことは言えないが