国木田 准教授と”真実”の構成式
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『ところで皆さん?…と言ってもここにいる学生3人へ聞きましょう。
これまでの この”世界の真実”は、どのように成り立っていると思いますか?』
国木田 均 先生
僕たちの通うこの大学の 考古学専攻の准教授
そしてこの大学は 考古学の講義を取る学生はほぼおらず、
今回の講義も 僕と同期生2名を含む 3人しか出席していなかった。
同期生のなかでも成績トップクラスの神楽坂 愛がこう答えた。
愛
『…それは…この講義のような…考古学的または歴史的な意味なんですか?』
彼女ですら疑問系の返答をした。
もう一人の出席者 高校時代からの付き合いがある三村 千里は即答で『わかりません!』と小学生のように元気よく答えた。
そして次に国木田先生は僕の方を見て
『 伊月くん 君はどう思う?』
伊月
『…まず先生の言う”世界”と”真実”…その二つが示すもの…定義を教えてください。…それによって、回答は異なります…』
国木田先生は不敵に微笑みながら大きく頷く。
国木田
『 宜しい。…そうですね。まず歴史も答えになりますが…それだと部分点のみの正答です。
…そして 今 伊月くんがきいた定義を明確にすることは…正直困難です。
私が今言った”世界の真実”は…一般的には歴史をさしますが…
…しかし真実の殆どは人の意思によって構成されています。
その点を念頭においてください。
「疑え」とは言いません。
けれども情報をただ鵜呑みにせず、自身で調べ 考えることをやめないでください…
…講義から脱線してしまいましたね…
さて 再開します』
当時の僕たち3人は その話をただポカンと聞いているだけだった。