蒼い魔術師は悪夢を屠る 21
作戦 『定められた日』より4日前
私達は、戦場となる 旧アルトコ大陸山岳地帯へと、飛空艇で移動していた。
この飛空艇が、参謀本部となる。
…現地到着まであと18時間、大半の搭乗者が眠りについていた。
私こと、ナタリー・H・ノーツは、様々なことをぐるぐると考えていた。
ナタリー
(この戦いは、文字通り、人類の命運を左右する…そして私達がしくじれば、…もうあとは無い。…あとは、臨機応変に状況を把握して、対応しなければいけないし…)
などと考え事をしていると、ふと誰かに呼ばれた。
ドックマンだ。
ハンダー
『…ナタ、ちょっとテラスに付き合えよ。気分転換も兼ねてさ!』
ナタリー
『…ええ、そうね。』
テラスへ出ると、太陽の光が異常に眩しく感じた。
ハンダー
『…たくっ、お前、一応女なんだから、一度、自分の面を見てみろよ。…お前らしくない顔してるぞ。』
ナタリー
『…確認するまでもないわ。…どれだけ、ひどい表情をしているかは、確認するまでもないもの…』
ハンダー
『…ナタ、お前に『友人』として頼みがある。…お前に契りの縛りをかけさせてもらいたい。』
ナタリー
『…今度は私を何で縛るつもりなのですか?』
ハンダー
『縛るんじゃない。…どちらかといえば…な。…そして、今回の作戦の保険でもある。』
ナタリー
『…内容は何でしょうか?』
ハンダー
『…言えない。
…理不尽なのは承知の上だ。でもこれは、友人としての信頼関係の上で、頼みたいんだ…!』
ドックマンが何を考えているか、正直わからなかったが、彼の言う、
友人としての信頼関係と言う言葉…
ドックマンは、私の数少ない、親友の1人。
…そんな彼からの頼みなら、何も躊躇うことは無いか…
ナタリー
『…分かったは…友人としてね。』
ここで私は、意識が途切れ、気がつくと、飛空艇の座席で眠っていた。
飛空艇内にあと1時間で現地へ到着するというアナウンスが流れる。