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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

蒼い魔術師は悪夢を屠る 18


ナタリー
『…マインドオープンを私にかけることによって、貴方も…その…、私の記憶を見るわ…嫌なものだけど、その…貴方だからお願いしたいの…』


本部に出向いてきたドックマン君に、ナタリー君がそう伝えている場面を
わし、ルーグ・ラックは目撃した。


ドックマン君は、明らかに困惑している。…無理もないかの、
昔なじみの学友でもあり、また戦友でもある数少ない者からの頼みが、
その友の命を、自らの手で天秤にかける『鍵役』を担うことを頼まれているのだから。


そのまま、無言のドックマン君に向かって、ナタリー君は言った。


ナタリー
『…嫌な役を押し付けようとしているのは承知の上よ…、でも、最悪、私は『蒼』の称号の権限で、貴方に『命令』することもできる…幻滅されようと、私は構わない。』

そう言い切って、ナタリー君はその場を去っていった。
ドックマン君は、それでもその場で、苦い表情のまま立ちすくんでいた。


ドックマン
『…ラック先生?聞いていたんでしょう?
先生の意見を聞きたいんですが…』

…どうやら気づかれていたようだ。




ドックマン
『…先生、そもそも、禁忌の術を使用しなければ、矛盾の王って奴は倒せないんですか…?』

ルーグ
『…ああ、そうだ。
残念ながら、わしのこの脳みそをフルに回転させて考えても、現存の力だけではどうしても『詰んでしまう』のじゃ。』

ドックマン
『…術者は…ナタリーでなくてはいけないのですか?…他の魔術師でも…』

そう言いかけてドックマン君は口を塞いだ。

ルーグ
『…残念ながらの、最も適した術者はナタリー君の他、おらん。
ナタリー君は、わしや、『赤』の奴よりも、『術を編み込む』ことに関しては、数段上にいる。
…結局のところ、彼女が一番『終焉のトランペッター』を扱うことが適役との判断になった。』

ドックマン
『…』

ルーグ
『…彼女の実力はわしも知っておるし、歴代最年少の『蒼』の称号者であるが、先代達と比べても、能力に引けはとらない…
けれども、ワシ個人としては、やはり可愛い教え子を、危険には晒したくないのも、また事実。
…ドックマン君が気にしているのは、ナタリー君の過去の記憶について、
つまりは己の手で、その辛い過去を引っ張り出すことで彼女を苦しませること。
そしてそのことがきっかけでコントロールを失うこと…か?』


ドックマン君は頷いた。


ルーグ
『…わしは、お前達がひよっこの時からアカデミーの教頭をしていた関係で、学生の、入学までの生い立ちについては、一応、知っている。
ナタリー君のことだ、自身の過去について語ったことは無かろう。
…もし君に『鍵役』を担う覚悟があるのなら、事前に、情報を与えることもできる。
…どうだろう?…事前に知っていれば、気持ちの覚悟もできまいか?…もっとも、聞いてしまったら、『鍵役』を断ることは、さらに難しくなろう』


ドックマン
『……聞かせてください。…後戻りはしないとの覚悟の上で、全てを…!』


わしは、1つ1つ、『アカデミー入学以前のナタリー君』について、語った。


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