灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

蒼い魔術師は悪夢を屠る 13



場所は、第一師団専用飛行艇の一室
私達は、ちょうど、
魔術師協会の『三原色』が揃ったこともあり、緊急会議と言う形で
それぞれが感じ、抱いていた『違和感』をだしあっていた。


アレックス
『…で、ぶっちゃけて言うとだな。パラドクス達の動向が活発になっていると俺は感じるわけよ。『蒼』の、それに『緑』のじいさんは、そこの所、どうよ?』

ナタリー
『…異論ありません。シュバルツの悪夢然り、単純に、発生、出没率が上がっているのみでなく、奴ら、確実に勢力が増しています。』

ルーグ
『…今回の出来事、パラドクス憑きと化したもの達は、今までのように一般人ではなく、仮にも軍人、…しかも、判明している身元だけみても、上級官クラスの魔術師もいた。』


ラック先生はうーんと、首を回した後にこう続けた。

ルーグ
『…『定められた日』が、予測されているものよりも早まった…とは考えられんかの?』




パラドクスは人間の負の感情から生まれ、成長する。
…そして、パラドクス達は、奴らの言う『次のステージ』への移行を、着実に進めていた。


…パラドクスの『王』と成り得る存在を、誕生させること…

それが奴らの言う『次のステージ』であること、
そして、その『王』と成り得る存在の誕生は、不可避であることが判明した。



これを判明させたのが、
先代の魔術師協会の三原色と、パラドクス研究を古来より行っている家系

魔術師側は『星詠み』と呼ばれる大規模魔術式を使用し、その予測を立てた。

それは研究者の家系と意見が合致し、
パラドクスの王が『いつ』誕生し得るかまで、ほぼ、目安となる日までをも導きだした。

それが
『定められた日』



予測では、
今現在から15年後に、その日はやってくるとされていた。


アレックス
『…パラドクスの王が誕生した、或いは、誕生させるための『栄養』を得る為に、活動が活発化している…か?
…先代達が単純に、予測を見誤ったか、又は、『当時の予測』よりその移行速度が増したか…』

ナタリー
『…定められた日に関しては、ラック先生の言う通りかもしれませんね…。
私は後者の、『当時の予測からの加速』説が、現状、しっくりくると感じます。』

ルーグ
『ナタリー君の上司、ハインド家の者にも探りを入れるよう通達してみるとしよう。』

アレックス
『…トーキのおっさんに、裏を取らせた上で、ソードマン室長へも進言してみるか。
…そのうち、特務会議の召集がかかるかもな。『緑』のじいさん、今度こそ、参加しろよな!』

ルーグ
『…分かっておる。とにかく、悪い予感は杞憂で過ぎることを祈るが、…それでも、最悪のケースは常に念頭におかなくてはな。』



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