灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

蒼い魔術師は悪夢を屠る 11

 
アカデミー校内は、まさに地獄絵図だった。
 
 
あちこちから黒煙が上がり、
地面には、講師や学生らしき死体が、いくつも横たわっていた。
  
 
奥へ進むと半壊した講堂と思われる建物があり、
そこへ入ると、パラドクス憑きが4体と
その背後にパラドクス単体が、ざっと十数体はいる。

パラドクス達は、こちらの勢力に気づくと
一斉に咆哮をあげた後に、
様々な攻撃系魔術を放ってきた。
 
 
咄嗟にドックマンが、シールドタイプの魔術で攻撃を遮断してくれたが
あまり長くは持ちそうにない。
 
ナタリー
『…私が突っ込むわ。援護をお願い』
 
ドックマン
『っ!…またそうやって無茶しようとする!ちょっと待て、ラック先生の指示を忘れたのか?
時間稼ぎが第一目的だっ!』 
 
ナタリー
『…そうだったわ…ごめんなさい。
…ラック先生のゴーレムを前衛に配置して、私達は後方から支援を!』
 
  
 
『傀儡使い ルーグ』と評される
ラック先生の召喚したゴーレムは強かった。
 

きっと、並みの兵士では太刀打ちできないほどだ
 
  
しかしそれでも、乱戦の末、
ゴーレム4体はやられてしまった。
 
 
 
30分ほどが経過しただろうか? 
 
パラドクス単体は、全て片付いた。
 
…あとは、パラドクス憑き4体のみ
 
 
…やれるか?…
 
そう考えながら、互いに睨み合っていると
魔術回線による通信が入った
ラック先生からだ。 

ルーグ 
『…4人とも無事か?無事ならいい。良い知らせだ。
第一師団が到着した。ああ、『赤』の奴も居る。あと1〜2分でそちらに着く。』
 
 
???
『…よう、『狂戦士』!久しいな!…なんだ?まだ狂ってないのか?
…つまらんな…まあ良い。『蒼』の、手を貸せ!他の奴らもご苦労だったな!…あとは任せろ!』
 
ナタリー
『…その呼び名はいい加減、辞めていただきたいんですがね。…で?どう対処するつもりですか?クラレス師団長』
 
 

 
アレックス・G・クラレス

軍部では
『第一師団 師団長』であると同時に、
魔術師協会では『赤』の称号を持つ魔術師
 
一見、魔術師には見えない、熊のような巨漢の男だ。


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