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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 31

世間はGWである。




オーナーからの事前情報では
やはりこの時期は 店が混むらしい。




『大変だろうけど、お願いねー!
その分頑張ったら、お給料に色つけとくから♡』
とのことだった。





大型連休と言うことで
様々な人から、遊びに誘われたが
アルバイトがあるからと

全て断った。









愚者と女帝とは
あまり、連絡をとっていない。


こちらから、連絡することも無いし

何より、彼女らも忙しそうだった。





女帝は、登下校だけでも、きっと疲れるだろうのに、
学校にいる間も
自宅に帰ってからも
とにかく練習漬けの毎日のようだ。







愚者も似たような感じだった。

一般教養科目に加えて、
芸術科の場合
美術の作品作成が、日々の課題のようで、

作っては添削、再作成
完成したら、
また次の課題といったように
とにかく、キリが無いそうだ。







僕こと刑死者の方も

バイトに高校にと、
とにかく覚えることが、いっぱいだ。

それでも、なんだかんだ
日々は充実していた。




とにかく良かったのは
バイト先に恵まれていたこと!
みんなちょっと変わってるけど…




そんなバイト先の先輩達やオーナーは、
僕のことを『少年』と呼び
可愛がってくれた。










GW最終日



夕方から夜にかけ、
この時間になると、お客さんもいったん 減る。








店の扉が開く音がした。


この頃になると、板についてきた
営業スマイルで、接客しようとするが…



来店した客の顔を見て、
思わず、
営業スマイルが引きつった…










来店した客は…

愚者と女帝だった。









引きつった笑顔のまま
僕は定型通り、接客を行なった。





愚者と女帝は
そんな僕を見て、
ニヤニヤとしながら
案内した席に着いた。




刑死者
『…ご注文をお伺いしてもよろしいでしょうか?』


愚者
『この、ブレンドコーヒーとマフィンのセットを2人分… 
あとは…とびきりのスマイル!』







それを聞いて

無言で俯いたまま
ニヤニヤとしていた女帝が、
堪えきれず、吹き出した…!






…こいつら…! この野郎…!





僕は
『かしこまりました。少々、お待ちください』
と言ってからホールを離れ、
厨房へオーダーを通す。





厨房には
主婦さんと、何故か、オーナーも居た。






オーナーは、僕の表情を一瞬見ただけで
『少年、何かあったのかい?』
と尋ねてきた。




…オーナーは人並み以上に聡い。




そして、何ものも拒まないと言うか…
なんでも、相談に乗ってくれる。


お客様相手にも、
よく相談にのっているし、

なかには、オーナーに相談ごとをしたいがために来店するお客様もいた。




どうせ、隠す気も無いしと
今の感情を、オーナーへと伝えた。







オーナーへは
『幼馴染達が、半分冷やかしで 来店してきて、迷惑している』
と伝えた。







それに対し、オーナーは 
ニヤリとした後に、こう言ってきた。

『…なるほどね。…でもあなた、迷惑していると思っている反面、久々に幼馴染達に逢えて喜んでいるでしょう? 
まあ、その部分は無自覚かな?』






そう言われ僕は、
少しの間 
思考を巡らせていた。







するとオーナーは、
おもむろにホールへと出て行き
愚者と女帝が座っているテーブルへと近づいていった。





僕は 焦った。





オーナーは何をする気なのか?




そもそも幼馴染2人が、
何かしでかしはしないかと…