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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 27

中学校 卒業式の練習




女帝は、小学時代と同様に、
今回もピアノで伴奏を担当するようだ。





卒業式の練習で、
僕は予想外の壁にぶつかっていた。



卒業式に、合唱はつきものであるが
その歌が…
周囲に迷惑が出るほど

上手く歌うことが、できないのだ!







正確にはこうだ…







刑死者こと僕は
15歳になってやっと 
声変わりをし始めたのだ。












この中学は、
年間行事で、年に1度 
クラス単位で参加する、合唱コンクールがあったのだが、

声変わりをしていなかった僕は

今までの3年間、女子に混ざって 
ソプラノ アルト等の女子パートに参加していたのだ…







そのことで、
僕は合唱コンクールの時期の度に
色々と冷やかされた。







もちろん、そんなことを気にする僕ではない。

女子パートに混ざっているとはいえ、
音楽教師曰く、
問題なく歌えていたのである。







が、今回はまた別問題だ。

喉はなんとなく違和感はあるし、
何より音程が不安定すぎる。




僕の声につられて
周囲の生徒まで音程が不安定になる。


…なんで、このタイミングでやっと声変わりが始まるんだよ…!

僕は何度も何度も、そう思った。









卒業式の練習も終盤に差し掛かり
合唱の練習で、

僕のことを何度も注意した教師も、
ついには

『こればかりは仕方がない』と
僕に声を掛け
以降 
注意されることはなくなった。









体育館から教室に戻る移動中
愚者が僕を呼び止めた。

放課後 ちょっと話を聞きたいとのことだった…







放課後 約束通り、
愚者と校門前で落ち合った。
その場には女帝もいた。





3人で帰りながら
なにか 言いにくいそうであったが
愚者が話を切り出した。


『刑死者 あんたのことだから自覚ないんだろうけど、
最近なんだか常にイライラしてるでしょ?』





その問いに
僕の頭の中は?マークでいっぱいだった。






そこに女帝が話しに加わってきた。

『クラスが違うから、今まで、はっきりとは分からなかったけど
今日1日 可能な限り、
あなたの様子を盗み見てたけど、
常にピリピリ イライラしている雰囲気を纏っていたわよ。
なんだか怖いくらいに』







2人とは、それだけ話をして、別れてしまった。


僕はその日の晩
彼女らの言葉の意味を考えた。










考えた結果は、こうだ。

これが正解かどうかは、
正直、分からなかったが…






『自分が 自分でなくなってしまうようで…
今までの自分が死んでしまうような感じがして…恐怖を感じているのではないか』と…











そうか…
僕は恐れているんだ。

今までの僕が死んでしまい
僕が僕で なくなってしまうのではないかと










そう考えだすと
次第に不安は大きくなり
胸の奥が詰まっているような感覚に陥った。



無意識にスマホを手に取り 
LINEを起動
愚者と女帝と僕の3人のページを開き
無意識にこう書いた。






刑死者
『ちょっと、助けてもらえる?』

2分後、ほぼ同時に既読がつき
こう返信がきた

女帝
『10分後に行く』
それに続いて

愚者
『アイス 食べたら、すぐ行く』


先に愚者が来た。
きっかり10分後 女帝も来た



揃ったところで改めて気づいた。

僕は何に対して助けてと言ったのか?




僕は 上手く伝えられないながらも

先ほど、
自分の中で考えて出た結論を
2人に話した。




黙って聞いてくれていた2人は
視線を合わせたのちに
こう話しだした。







『あたし達2人もさ、
正直、そうゆう時、あったよ…』と愚者が言う。



それに続いて、女帝がこう話しだした。