灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 23

30分後の僕はといえば、




顔面が墨の落書きどころではなく、

顔一面が墨で黒くなり、
既に戦意喪失状態であった。







仮にも元野球部、
そして3人の中での黒一点ということもあり、

最初は手加減しながらやろうとしていた。






けれど それは、甘かった…
この幼馴染2人を
『女の子扱い』するものじゃないと
改めて思った。







愚者の運動神経は相変わらずで、
最後は本気で挑んだが
結果は惨敗。





一方、女帝はというと
運動神経でこそ、愚者には劣るが

『なんでも器用に、そつなくこなす』
彼女もまた、強かった。









敗者の僕は

愚者vs女帝のガチバトルを
側から、眺めていた。





一進一退の攻防
次第に2人は熱くなっていく。




『ほらほら!
負けを認めちゃいなさいよ!
スポーツはあたしの方ができるんだから…さっ!』
と攻撃的に愚者が言い放つ。




愚者…さっきまで 
メソメソと泣いていたお前は何処へ?!







それに負けじと、女帝も
『このっ!脳筋女!』
と打ち返し、ラリーが続く。










そんな彼女らを見て、僕は思った。





クラスメイトの男子がよく言っていた。
『女子って、怖いよなー』


僕は、そう感じたことは無い。



しかし、
眼の前で繰り広げられている
彼女らの攻防戦を見て思った。









女子は別に怖くない…

ただ、ガチになっている彼女らの姿は
確かに恐ろしい。







…未だに、彼女らの攻防戦は続く…


彼女らの攻防戦は
意外な事がきっかけで幕を閉じた。