灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 21

そこで考えた結果がこうだ。





通信制の高校に通いながら、
アルバイトで、資金を貯める。





母は、余り良い顔をしなかった。

『普通の高校へ行かせる事ぐらいはできるんだからね…』と言ってくれたが


それでも
『あなたがよく考えた末の結論なら、反対はしない』と言ってくれた。




母さん、ありがとう。




 3歳年上の兄は、
現在 地元の工業高校の3年生。


就職先も既に決まっていた。

そのためか、兄も

『俺が親父の分まで稼いでやるから、悪い事は言わない。
普通の…全日制の高校に通え!
お前は俺と違って成績は結構良いんだろう?
普通の高校で、
高校生らしく生活する権利がお前にはあるんだぞ!』







父を失った事で、
長男である兄は

『自分がしっかりしなければ!』

という意識があるようで…


その雰囲気を感じたとった僕は尚更、
現在の進路方向を変える気持ちは無くなった。




兄自身もまだ10代だ

兄の言葉通り、
負んぶに抱っこで、世話になってては
僕が、兄の将来を食い尽くしてしまう。





進路指導の教師からも、色々と、
説得めいた事を言われたが、
それでも僕の意思は変わらない。





僕は自分で言うのもなんだが…頑固である。






クラスメイトからは、
『お前の頭なら、○○高校だっていけるかもなのに…勿体無い…』などと言われたが



そんな事を気にする 僕ではない。










大晦日、
喪中といえども
今年も 
愚者と女帝 そして刑死者こと僕達3人は
僕の自宅へ集まった。




彼女達には、既に 
進路の事は伝えてあった。



『まあ、あんたなら、なんとかなんじゃない?』と女帝


『そうそう、
それにあんたがアルバイト始めたら、
遊びに行ってやるから』と愚者はニヤニヤしながら言った。