灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 20

愚者と女帝
2人を家へ呼んだは良いけれど、

何て話せば良いんだろうか…?






愚者も女帝も、
それぞれ無言でこちらを見つめてくる。




沈黙に痺れを切らせて
僕は
「あのー、ご心配をおかけしました…」と言った。




すると女帝は『で!?』と一言



愚者は無言のまま、
それが逆に怖い…




僕は、裏返った声で
『お二人とも、怒ってますか?』と
尋ねる。


すると女帝は
『あ、もしかしてやっと分かった感じ?
相変わらず、鈍いわね!このバカ!』



愚者はというと
まだ無言…






次第に、
女帝がヒートアップしていった。

『なんであんたは肝心なことをちゃんと言わないの? 
そうやって、抱え込んで…
私達、いつだって3人一緒にやってきたじゃん! 
付き合いが長い分、
それなりにはあんたのことわかるよ!
でも、自分から言ってくれないと、
どうしようもないじゃない…!!』
女帝は言いながら、涙を滲ませていく。





終始無言だった愚者が

苦い顔をしたまま、無言で僕の手を握ってきた。

この仕草の意味を…僕は知っている。

そうか…そうゆうことから…






涙を滲ませていた女帝は
いつの間にか、
子供のようにワンワンと泣いていた。


それにつられるかたちで

愚者も泣きだし、
僕も自然と涙がこぼれていた。






僕は、やっと 
自分の気持ちを
整理することのできる段階へと来れたようだ。









まずは、進路だ。









僕は、勉強が好きだ。

正確には
『自らが興味のある分野を学ぶこと』が好きだ。



正直、贅沢だと思うが、
大学まで行きたいなと思っている。





しかし、父を失ったこの家計に
負担はかけたくない…





そこで僕は
こう考えた。