灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 10


刑死者こと僕には、
大きく2つ変化が起きた。



一つ目は、
所属していた野球部の
人間関係のゴタゴタに巻き込まれ、嫌になってしまい

僕と、同学年の部員が1人、
1年生部員が2人 
野球部を退部した。



二つ目は、
野球部という後ろ盾を失った事で、
今度は 僕がイジメの標的となった。




野球部の連中からは
『裏切り者の居場所は無い』と、
ハブられる。


ある朝 投稿すると、
机の中に 大量の紙切れが入っており、
一枚一枚には 
『死ね』 や 『クズ』等々 書かれていた。



ショックが無いといえば嘘にはなるが

その反面、
表情には出さないように気をつけながら
腹の中では笑っていた。







だって、
こんなに大量の紙切れに、
一枚一枚 手書きでチマチマと書いている
作業風景を想像してしまうと…



…笑える…!



以上のことからもわかるかもしれないが、
僕はたいして、ダメージを受けてはいなかった。



むしろ、
やっと野球部から解放されたと、清々としていた。


そんな中、愚者の彼女は
僕のことを大層 心配してくれていたようだ。

だが
 『怖くて何も出来ない自分が歯痒い』と 
両親に、時には泣きながら漏らしていたらしい。


これは、愚者の母親からこっそりと聞いた。




僕は先ほども言った通り、
あまり気にはしていないのだが…



だが、気にはしていない反面

これは他者へのイジメを黙認していた
自分にも責任があったなと
考えていた。





中学2年生の秋
僕の教室に愚者が訪ねてきた。


これ自体はあまり珍しい事では無いが
イジメの標的となってからは初めてであった。




愚者は
『ちょっとついてこい』といい僕を教室から連れ出した。


クラスメイトはそれを見て、僕らを囃し立てた。


連れて行かれた先は…別棟の音楽室?


中に入ると、意外な人物たちがそこに居た。


そこに居たのは
女帝と、3年生の上履きを履いた男子生徒
(学年ごとに上履きの色が異なる)
そして音楽の教師(男性) 


そして愚者と、
それに連れられてきた刑死者こと僕の5人が、音楽室に揃った。



僕はイマイチ、状況が理解できていなかった。

すると3年の男子生徒と女帝が話し始めた。