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灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

愚者と女帝と刑死者と 9

中学2年生になる。

また3人ともバラバラなクラス

進級するとほぼ同時に、2年生全体が荒れた。

結構、えげつないいじめが各クラス1・2件は起きていた。



そんな日々が続く中、
休日に愚者から呼び出しがかかった。
僕はその呼び出しに応じた。



そこで神妙な顔の愚者から
ある相談を受けた。


話はこうだ。

僕の知らない間に女帝は、
女子派閥の一派のリーダーになっていて
他派閥の女子に、ことあるごとに突っかかっているらしい。

後から集めた情報も総合しても、
いじめとまではいっていないようであるが、
愚者曰く、
このままいけばエスカレートし女帝がイジメの加害者になってしまう。



 愚者はそれとなく、
その突っ掛かりを辞めるよう、
女帝と会うたびに伝えているようだが、

女帝はというと
『先に突っかかってきたのは向こうサイド!』とのことだった。

中学生ともなると、
男女で、情報のネットワークが異なるためか
僕はそんなことが起きているとは全く知らなかった。




愚者の彼女と刑死者こと僕は、
女帝の彼女と、どうにか話し合えないかと、
その場(マック)へ女帝を呼び出した。


女帝は不機嫌ながらも呼び出しに応じてくれて、
愚者 女帝 刑死者の3人がその場へ揃った。




僕はことの経緯を、
愚者から聞いたことを伝えた。
すると女帝は眉間にシワを寄せながら深いため息を吐いた。



そしてしばらくの沈黙の後に、女帝はこう言った。

『わかったわ。確かに感情に任せて、その子へ当たっていることは認めるし、少なからず、悪いと思っているの。
でも、こっちの言い分も聞いて』


女帝の言い分はこうだ。

女帝の派閥の子の1人が、
ある男子生徒と付き合い始めた。

だが、そのことで、他派閥の女子数名に呼び出しをくらい、罵倒され、水をかけられたそうだ。


その際に、初めて その男子生徒が、
その他派閥の女子生徒と既に交際していることを知る。
二股だ。




その事態を聞き、女帝が動いた。

彼女は、何故か、
いわゆる不良にも顔がきいた。

不良の先輩を使って、
その二股男子生徒には『制裁』が下った。


その一方で、他派閥の長とは、
女帝自身が直接対峙した。


対峙したものの、その最中、
女帝も他派閥の長もキレてしまい、
その場は終了。


以降、敵対派閥同士で
小競り合いが続いていて、
具体的には、
互いの派閥の弱そうなところを突きあっているのだ。



愚者が伝えた部分は、おそらく その部分だろう。


女帝は
『確かに最近突っかかっている子は直接の関係が無いのはわかってる。
直接 うちに仕掛けてる子じゃ無いし』


女帝はこうも続けた。
『分かったわ、その子や関係の無い子には今後、手を出さない。でも、前にも話した通り、向こうが仕掛けてきたことなの。
こっちから引く気は無いわね』



女帝はそう言い終えると、
飲みかけのコーヒーを一気に飲み干し、
その場を後にした。


愚者の彼女は複雑な表情のまま黙っている。


愚者の気持ちはきっとこうだ

『関係無い人まで巻き込むなんて』と
『女帝はこんな人だったっけ?彼女が分からない』


僕自身も正直、彼女が大きく変わってしまった印象を受けた。




人は変わる 善悪も、例外もなく。


その日から、僕達が3人でいることは極端に減った。

ただ、愚者の彼女と僕は、自然と2人でいる時間が増えた。