愚者と女帝と刑死者と 1
愚者はいつも厄介ごとを持ち込んでくる。
愚者と女帝と刑死者は同い年で同じ地域に住んでいる
親同士の付き合いもあり、いつもは刑死者の家に集まる
幼稚園の時、愚者は野良の子猫を拾った。
女帝は当時から大人びていて『誰の家でも飼えないよ』と言い放つ。
刑死者の僕は困っていた。
刑死者の僕は、ダメ元で親に野良猫を飼えないかとお願いした。
やはり ダメだと言われてしまった。
僕と愚者は、ワンワン泣きながら
その野良猫を元の場所へ返してきた。
悲しかった。
女帝はというと、なんだかんだ悲しいようで
うっすらと涙を浮かべていた。
小学校へ上がると
愚者と女帝と刑死者の僕は、毎日一緒に登下校。
帰ると言っても、僕の家へ集まり宿題をし、5時になったら帰っていくのが日常であった。
それは、小学3年生まで続いた。
その間にも、愚者はロクでもないことを言い続け、女帝がそれを適当にあしらう。
刑死者の僕は黙々と宿題をしつつ
時には愚者に対して、うるさいよとか、文句をたれてもいた。
今 考えると、これは とても貴重な時間だったんだなと気づく。