灰色の国 (くるー)

創作小説をはじめ、その他徒然と書いています。

2015-12-03から1日間の記事一覧

愚者と女帝と刑死者と 28

『私達 女の場合はさ、いわゆる(女の子の日)みたいのが始まり出した時さ、正直、今までの自分が、消えて自分でなくなっていくみたいな感覚を覚えたんだ…でもさ、それってちゃんと大人に向かって 成長しているっていう証拠なんでさ…こんな、月並みな事しか言…

愚者と女帝と刑死者と 27

中学校 卒業式の練習女帝は、小学時代と同様に、今回もピアノで伴奏を担当するようだ。卒業式の練習で、僕は予想外の壁にぶつかっていた。卒業式に、合唱はつきものであるがその歌が…周囲に迷惑が出るほど上手く歌うことが、できないのだ!正確にはこうだ…刑…

愚者と女帝と刑死者と 26

冬休みが明けたその際の全校集会で、校長は最後に『軽はずみな行動は、身を滅ぼすので、くれぐれも気をつけてくださいね』と言って締めくくった。後の情報で、例の男子は飲酒だけでなく、喫煙、そして危険ハーブまで日常的に手を出していたらしくその後、卒…

愚者と女帝と刑死者と 25

『普通の10代の男子ならこの程度の力で引っ叩かれても倒れはしない』でもその男子は倒れた。愚者と女帝は、まるで自分が引っ叩かれたみたいに目をぱちくりとさせていた。そんな2人を余所目に僕はスマホを出し、電話を掛けた。相手は、母親の兄 つまりは叔父…

愚者と女帝と刑死者と 24

『お前ら3人 相変わらず、くっついてるなー』とある男子が、僕らにそう声をかけてきた。こいつ、誰だっけ…?でも確か、小学校からの同級生の1人だったか?と考えていた。愚者は手を止め、強張った表情で、その男子を睨む。そこでようやく思い出す。確か 小学…

愚者と女帝と刑死者と 23

30分後の僕はといえば、顔面が墨の落書きどころではなく、顔一面が墨で黒くなり、既に戦意喪失状態であった。仮にも元野球部、そして3人の中での黒一点ということもあり、最初は手加減しながらやろうとしていた。けれど それは、甘かった…この幼馴染2人を『…

愚者と女帝と刑死者と 22

そのまま駄弁っているうちにいつの間にか新年を迎えていた。そしてそのまま神社へ、合格祈願も兼ねたお参りに行った。そして再び刑死者こと僕の自宅へ帰った。日が高くなってくるとふと、愚者が居ないことに気づく。女帝に尋ねると『何かを家へ 取りに行った…

愚者と女帝と刑死者と 21

そこで考えた結果がこうだ。通信制の高校に通いながら、アルバイトで、資金を貯める。母は、余り良い顔をしなかった。『普通の高校へ行かせる事ぐらいはできるんだからね…』と言ってくれたがそれでも『あなたがよく考えた末の結論なら、反対はしない』と言っ…

愚者と女帝と刑死者と 20

愚者と女帝2人を家へ呼んだは良いけれど、何て話せば良いんだろうか…?愚者も女帝も、それぞれ無言でこちらを見つめてくる。沈黙に痺れを切らせて僕は「あのー、ご心配をおかけしました…」と言った。すると女帝は『で!?』と一言愚者は無言のまま、それが逆…

愚者と女帝と刑死者と 19

事件から数日後葬儀やらなんやらで、僕は数日間、学校を休んだ。…涙は出なかった。そもそも父とはあまり、関係は良好ではなかったがそれでも、家族のために働いてくれていた父には感謝していた。涙は出ないが、心のなかは、次第にぐちゃぐちゃになっていった…

愚者と女帝と刑死者と 18

いつまでも感傷には浸っていられない。引退に向けて、着実に引き継ぎは進んでいた。次期部長の候補も目処がたち、僕達は次の現実を突きつけられた。進路だ。夏休みも残り3日また、3人で 僕の家へ集まり、残りに残った宿題を片していた。正確には、愚者の宿題…

愚者と女帝と刑死者と 17

県大会に向け、さらに練習に熱が入る。地区大会での、自分達の演奏を録音した音源を顧問と部長である女帝 そして、各パートリーダー(パーリー)達が狭い音楽準備室に集合して聴いていた。愚者はサックスの、刑死者こと僕はホルンのパーリーとしてこの会議に参…

愚者と女帝と刑死者と 16

帰りのバスの中、始めは姦しくも、騒がしくもあったが、後半になっていくと、緊張の糸がほどけたようにほぼ全員が、眠りについてしまった。僕のスマホが震えた。LINEだ相手は、愚者と女帝つまりこの3人の対話ページだ。(グループLINEではない)愚者『やったよ…

愚者と女帝と刑死者と 15

クラスメイトの男子部員のからの相談は、なんとかはぐらかし、うやむやにできた。刑死者こと僕は今まで通りを意識し、努めて部活に打ち込んだ。ホルンの後輩からは、言われてみれば、そのような好意を受けている感じはあった。今まで気づかなかったごめんね…

愚者と女帝と刑死者と 14

女帝はこう言った。『あなたよ、その2年生の子が好きなのは…』それを聞いて愚者は『もうっ!このっ!朴念仁!』と蹴りを3度もくり出した。女帝はこうも続けた。『夏のコンクールに向けて、一丸となって練習に集中して欲しいから、その後輩には 夏の大会が終…